こんにちは、木村太一です。
今回の書評もビジネス本となります。
初版は2007年で、かなり前の書籍となりますが、まだまだ重版されているマーケティングの名著かと思います。
内容としては、フォーカスすることの大切さを、実際の企業の失敗例や実績を踏まえて紹介している書籍です。
例に上がるのは、誰しもが知っているようなグローバルな大企業ですが、中小企業こそこの戦略をとるべきですね。
そして、この本、そのフォーカスする!という一つの題材で、全377ページあり、かなりのボリュームがあります。
そして、全15章で構成されています。

第1章 多くの企業がフォーカスできない理由
- 成長という名の罠
- 企業にもあてはまる「エントロピーの法則」
- 買収の時代は終わっている
- 「狩猟許可証」か「ダイヤモンド」か
- ライン拡大への六つの誘惑
- マクドナルドは手本に非ず
- 中小企業の落とし穴
- IBMの迷走から学べること
- 数年で消える運命
- 「ライン拡大は失敗する」の実例
- ゼネラリストよりスペシャリストを目指せ
第2章 グローバル経済の時代に勝ち抜くために
- 市場が大きくなるほど専門化せよ
- ヨーロッパ企業低迷の大きな原因
- 日・中・韓企業の弱点
- 「企業連合」の失敗
- 小国の企業が海外で成功する秘訣
第3章 他の経営論とフォーカス論の違い
- 正解は「分裂」か「統合」か
- 人気経営論の末路
- 「集合」して得をするのは誰か?
- 空を飛び、水中を走る自動車
第4章 実行して成果を出した企業に続け!
- メディアが伝えはじめたフォーカスの動き
- 「たくさんのことを少しづつ」の終焉
- 悪い合併と良い合併の違い
第5章 トレンド最前線の小売業で起こっていること
- デパート衰退の本当の理由
- 得意客にフォーカスして生き残る
- トイザらスを成功に導いた5つのステップ
- 小売業成功の秘訣①フォーカスせよ
- 小売業成功の秘訣②品揃えを豊富にせよ
- 小売業成功の秘訣③安く仕入れよ
- 小売業成功の秘訣④安く売れ
- 小売業成功の秘訣⑤市場を独占せよ
第6章 二つのコーラの物語
- 世界最大の外食企業は問題だらけ
- 昇進システムを見直す
- ペプシコのジレンマとは?
- とっておきの起死回生策
第7章 重要なのは、「よい品質」より「よいイメージ」
- 誰も疑わない「品質第一」
- 品質とは何なのか
- 人は「イメージ」で選んでいる
- 企業が見落としがちなこと
- イメージを高める方法①「専門」効果
- イメージを高める方法②「業界トップ」効果
- イメージを高める方法③「価格」効果
- イメージを高める方法④「ネーミング」効果
第8章 言葉によるイメージ戦略
- 記憶に残る言葉を探す
- 「一番だから買う」という心理
- リトル・シーザーズ急成長の秘密
- ボストン・チキンの教訓
- フォーカスを言葉にできた企業の成功例
- 市場を開拓したものが勝つ
- 輸入車トップ、ボルボの戦略とは?
- 後発BMWが打った手とは?
- 論理的であるより、現実的であれ
- 消費者に「本物」だと思われる条件
- 航空会社浮上のカギは?
- 決めては、「何に」フォーカスするかである
第9章 「万人ウケ」をねらうな
- 消費者の心の動きをキャッチする
- 犠牲のない戦略はない
- 保険代車にフォーカスして成功したエンタープライズ
- 「ビジネス」にフォーカスして成功したLDDS
- コンパックとカッパードベルの勝因
- 直販にフォーカスして成功したデルとゲートウェイ
- 規模拡大は慎重に
- メーカー、保険、医療分野でもフォーカスで成功
- 教育界、法曹界のフォーカス力
- 映画スターでさえ、フォーカスが効く
第10章 市場の変化に合わせてフォーカスする方法
- 変化に逆らっては生き残れない
- 戦略調整法①新旧両方に二股をかける
- 戦略調整法②完全に新技術にのりかえる
- 戦略調整法③あえて旧事業にとどまる
- 戦略調整法④新しい名前に変えたうえで、完全に乗り換える
- 戦略調整法⑤新旧の分野に別々の名前で参入する
第11章 「分割」で業界トップに躍り出る
- スピンオフの時代がやってきた
- これからの企業は、GEから学ぶな
- 実践例とその効用
- 金融業界の生き残り策
- 多業界に広がるスピンオフ戦略
- 家電チェーンの未来はどこに?
- 全米史上最高のカムバック物語
- 「生き残り」のための戦略と「勝つ」ための戦略の違い
- 「フォーカスがフォーカスを生む」という現実
- スピンオフの効用①経営範囲を小さくする
- スピンオフの効用②社員の意欲をかき立てる
- スピンオフの効用③「取引先とライバル関係になる」という問題を解消する
第12章 「複数ステップ」という手法
- スローン時代のGMの戦略
- 各ステップ間の注意点
- 増えすぎた車種の弊害
- ホンダ・アキュラの良策と失策
- イメージチェンジは要注意
- 企業が浮上するための三つの作戦
- 自社イメージに合ったブランドの育て方
- 雑誌ビジネスが示す複数ステップの効用
- リグリーの「ハイ/ロー」戦略
- 「ひとことで定義できる会社」になれ
- あなたの会社に「若者向け」はあるか
- 新市場には新ブランドで
- 複数ステップ実践上のアドバイス
- 失敗例に学ぶブランドの扱い方
- 効果的な複数ステップのための六つの原則
第13章 IBMに見る実践上の注意点
- 過信が生んだミス
- 的はずれな選択を避けるには?
- 正しいフォーカスの進め方
第14章 「イノベーションの溝」を越えて急成長を!
- 「カイゼン」は経営に用いるな
- 「品質向上」より「次世代開発」を
- 最初に溝を越えても負けてしまう原因
- 過去にしがみつくな
- 無名企業にチャンスあり
- 技術の違いをアピールせよ
- 溝を越える際の四つの鉄則
- 「慎重は安全」という勘違い
- 新しいフォーカスなしに次世代は渡れない
- 「蝶」を「空飛ぶイモムシ」とは言わない
- 「先手必勝」とはかぎらない
- 次世代と「戦う」か「乗る」かを分ける四つのポイント
第15章 まとめ―フォーカスを成功させる十五の秘訣
以上、章と中見出しを書くだけで大変です。
選択と集中が大事、とは頭でわかっていても、なかなか勇気が必要です。そんな方の背中を押してくれる本だと思います。
一番印象に残ったのは、”CEOは「現在の活動の中に」未来を見出さねばならない。最も未来に希望が持てる製品、サービス、アイデアをひとつだけ見出す。それが自社のフォーカスになる”という一文。
その後、”極めてシンプルだが、これがなかなか難しい”と続きますが、まさに難題です。
虫眼鏡は、広範囲に散らばる光を一点に集めることで、紙を燃やすほどの熱を生み出します。逆を言うと、焦点をあわせたときしか、火を起こすことができません。
同様に、限られた資源を拡散させるのではなく、特定の市場、特定の顧客層、特定の強みに絞り込み、限られた市場のトップを目指す戦略を考え、実施していこうと思います。
フォーカスが大事だとはなんとなくわかっているけど、なかなか実践できていないと言う方、是非読んでみてください。
フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法
アル・ライズ (著), 川上純子 (翻訳)
★★★★☆